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糸魚川市能生白山神社春季大祭2016②

午前中の諸行事が終わり、時刻は13:00をまわったころから舞楽の奏演がある。地方の舞楽は珍しいが、新潟でも西側の頸城の地には舞楽の伝承がある。例えば、糸魚川市一の宮天津神社舞楽が4月10、11日に奏演される。また、8月31日、9月1日の同市根知山寺の延年にも舞楽系の芸能が行われている。

まず、最初の演目は《振舞》。いわゆる《振鉾》である。稚児二人舞。一番最初で清めの舞でもあるという。
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続いて《候礼》。稚児四人舞。《振舞》と同じく白色の上衣が印象的。
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三番目は《童羅利》。土俗的な能面とでもいうような不思議な面。体には不釣り合いな大きさの面で、五の戸という最年少の稚児が担当する。
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舞の終盤で橋掛りの途中で、振りむいて赤目をするのも可愛らしい。
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続いて《能抜頭》。大舞といい、初めての大人の舞である。
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独特な赤と黒の横縞の上衣、やはり土俗的な面は、いわゆる「抜頭」とはまるで別物だ。きびきびとした精悍な舞である。

続いて《泰平楽》。
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稚児四人舞。いわゆる《太平楽》であるが、中央の舞楽ともおとらず、鉾、抜刀等、本来の《太平楽》のスタイルを維持している。
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次は《納蘇利》。大舞二人舞。
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いわゆる《納曾利》で、二人舞のため「双龍の舞」と言われる。手には「バイ」呼ばれる「バチ」を持つ。
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そして《弓法楽》。稚児四人舞。本来の舞楽にはない演目で、弓を射る姿は神楽系からの移入だろうか。
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続いて《児抜頭》。稚児一人舞。5人の稚児のリーダーである一の戸のソロである。この時、舞台の前には保護者が相対して息子を見守る。可憐な舞であるのに、一の戸最後の舞のりりしさに、関係者でなくてもホロリとさせられる。
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そして稚児舞最後の《輪歌》。稚児四人舞。
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手には花を持ち、可憐に舞う。「児抜頭」と同じく紫色の上衣が印象的。ちょうど夕日が沈むころで、本当に幻想的であった。

そして最後の舞が《陵王》。
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舞いながら入綾のように退場する《輪歌》を迎え、全身緋色の強烈な印象の装束にシャグマ。面は確かに陵王面なのであるが異形の舞姿としか言いようにない。しかし、能生の人々は手にサカキを持ち、そのお出ましを促す。

長い橋掛りでは、七五三のタイミングで廻りながら進んで行く。今年は17:35頃登場した。
舞台にたどりついても呪術的な舞が続く。
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そして舞の前半の終了は「日を抱く手」。日本海に沈む夕日を招き返すというものだ。中央の舞楽の《蘭陵王》にはかつてはあった所作らしいのだが現行ではないという、この手が能生に残っているのはおもしろい。

さて舞台での舞が終わると、再び橋掛りに出る。日はほぼ真西。今年は特に夕日に相対し、本当に日を招き返したか!?と思わせるような雰囲気であった。
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そして、再び七五三でゆったりと楽屋へ向かう。ここで「御旅帰り」と称し、「神が乗る」と、陵王が楽屋へ飛び込む。
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これがなかなか入らない。じらされる。しかし能生の人たちは「陵王さん!まだまだ!」と声をかける。《陵王》が楽屋に入るとは祭りが終了するということなのだ。観客はサカキをたたきつけ、場を盛り上げる。

そして楽屋に《陵王》が入ると、橋掛りが取り外され、そこを通って、御旅所の神輿が拝殿に担ぎ込まれる。
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そして神が降ろされると再び、神輿を戻し、「ヤッショーイ」という独特な掛声で、祭りを閉じるのである。

今年は19:00ジャストくらいに《陵王》は入った。しかしあたりは暗い。神輿が戻されたあとは、再び町内を稚児を連れ、一同の柏手で、祭りの一切が終わりとなる。

今年も終わってしまったな。来年の4月24日は月曜日。さて来年は来ることができるのだろうか…などと思いながら、能生の祭りに別れを告げた。

 








by hamadasensho | 2016-04-27 21:55 | 新潟のまつり

各地に伝わる「民俗芸能」を訪ねる旅へ出かけたい…


by 浜田線翔