上田市前山~甲子中間祭 2014
2014年 05月 11日
上田市西前山にある塩野神社は式内社として知られる古社。前山地区は、鎌倉時代の副執権として塩田城に入った塩田北条氏の城下町としての町並みを残す、古い地区だ。この塩野神社に60年に一度の「甲子大祭」が行われる。前回は昭和59年。今年はその30年後ということで、その中間祭が行われた。 中間祭とはいえ、何年も前から準備されてきたのだそうだ。そして今回も、東前山の三頭獅子とささら踊り、西前山のお囃子が久しぶりに出されるとのことだった。
今日は、まず9:00a.m.からの市神様での演舞から見学した。まず三頭獅子。 何とも古式をたたえた獅子だ。獅子頭とはいえ、竜頭のように見える。演舞の内容は、当地域に多い“雌獅子隠し”による、2頭の雄獅子が、1頭の雌獅子をめぐって争うというストーリーだ。 そして、当地域の三頭獅子には必ずセットになっている「ささら踊り」も続いて行われる。 ささらは竹を削って作成した「摺りざさら」だ。 何とも愛らしい踊りである。
さて、市神様での演舞が終わり、10:00a.m.頃、塩野神社へ戻った。するとゲスト出演の、塩田新町の太々神楽が行われていた。 これも当地域に多い江戸の丸一系太神楽の系統の獅子舞だ。 悪魔払いをメインとする軽快な舞が特色だ。
さて、10:40a.m.から、神社前の大鳥居より行列の神幸があるという。その時、西前山の「お囃子」も奏され、賑わいを醸し出す。 さて、神社境内では12:00p.m.頃から式典があり、その後1:00p.m.頃からゲストによる歌唱や演芸があった。
そして、いよいよメインの1:30p.m.から、塩野神社境内での芸能奉納が始まる。 まず、西前山の「お囃子」。 笛、三味線、鋲留め太鼓、締め太鼓、大鼓、小鼓、鉦による。都市で演じられる都会的なお囃子が、何とも素朴な雰囲気で奏される。
そして、いよいよ東前山の三頭獅子。烏天狗の先導で、練り込んでくる。 獅子の頭は、先述の通り竜のようだ。先獅子が雄、中獅子が雌、後獅子が雄だという。 三頭の獅子は様々に位置を替え、勇壮に舞う。 特に“雌獅子狂い”では、「落とし入れ」といい、1頭の雄獅子が、もう一方の雄獅子にかじりつく所作がある。やられた方は結構リアルな動きだ。 今回は20分ほどに短縮したものであったという。本来は50分ほどかかる演舞なのだそうだ。
そして「ささら踊り」になる。三頭の獅子と烏天狗は輪の中心に立ち、その周りを童子たちが可憐に踊る。 解説では「前山では男子が入っているのが特色です」といったアナウンスがあった。確かに、周辺の別所や保野の「ささら踊り」は女児による。しかし本来は、男児のみで踊っていたということである。そういった点からも、東前山のささらは古そうだ。 東前山では、当地域に多い「御門の脇の御桜 黄金の花も咲いたとな」の歌詞がない。天正11年の上田城築城に舞い込んだという伝承をもつ三頭獅子が多いが、東前山はもっと古いのだろうか。
こうして中間祭での「三頭獅子」と「ささら踊り」を見て、帰宅した。
実は…前回の「甲子大祭」には、自分は見学に来ている。実に30年ぶりだ。三頭獅子は、市のイベントでたまに演じられることがあったが、ささら踊りは30年ぶりだそうだ。
それにしても、60年は長いな。いや、30年も長いと思う。次回の30年後は、大祭のはずだ。その時は見られるのだろうか?
by hamadasensho
| 2014-05-11 18:30
| 東信濃のまつり